この記事では、タクシーの運送約款について書きます。
タクシーの運送約款は、各タクシー会社の営業所に掲出されています、
しかし、ほとんどのお客さんは、駅や公共施設、流しや無線..タクシーアプリ等で乗りますので、運送約款を目にすることは有りません。
運送約款を知らない事で起こるトラブル!(例)
乗車拒否~正当か?不当か?
「運送約款」を理解していると、「タクシーに乗車拒否をされた」と感じた時に等に、乗車拒否が正当か?不当か?が分かります。別の言い方をすれば、合法か?違法か?が分かります。
正当な「乗車拒否ってあるの?」とお思いかもしれませんが、お客様やタクシードライバーを守る為の決め事なのです。
実は、25年くらい前に、半年間だけ、タクシードライバーをしていましたが、「乗車拒否」をしてはいけない!と、今から思えばかなり怖い思いもしてきましたし、次のお客様に不快な思いもさせてきました。
値切り~合法か?違法か?
次に多いのが、料金についてのトラブルです。「安く行ってくれ」と値切られても、「約款」を理解していなくて、不当な運送をした事も有ります。
メーターを操作して法外な料金を請求された?
実際、値段を安くはできても、値段を高くすることはできません。
運送約款をしっかり理解しておけば、お客としても、運転手としても安心できるのです。
はじめに!(運送約款の記事を書くことにした理由)
運送約款をきちんと覚えているドライバーは少ない!
タクシーの場合、お客様とトラブルになった時は、「丁寧に事情を説明して、納得していただけるようにする事」と指導されますが、運送約款の内容をきちんと覚えているドライバーは、ほぼいません。不可能です。
又、それをお客様にきちんと説明するのもほぼ不可能です。
運送約款をきちんと説明できるドライバーは少ない!
又、例え、覚えていたとしても、「丁寧に事情を説明して、納得していただけるように説明する事」ができる人は皆無だと思います。
トラブル時はお互い冷静になれない!
更に、トラブルの時は、お客様もドライバーも「熱くなり」、冷静な話し合いができません。タクシーの場合、他の公共交通機関に比べて、割高です。
いわばお客様は、「プライベート空間」と「安全..快適な移動」と「移動時間の短縮」に対価を支払っていると言っても過言ではないでしょう。
はっきり言って、タクシードライバーと揉めている時間が惜しい人が多いのです。
運送約款を営業所で見る客は居ない!
別記事に、「普段、目にすることはないけど、タクシーの営業所の壁に何年も変わらず貼ってある」あの薄汚れた張り紙「約款」について勉強しておきましょうね。」とありますが、あの、運送約款は、掲出するように決められているから、掲出しているだけなのです。(笑)
運送約款の内容を知らずに、知らぬ間に契約している!
例えば、携帯電話の契約をするときに、約款に目を通し、印鑑を押して契約しますよね。ほとんどの契約事に関しては、印鑑を押して、契約終了ですよね。
しかし、タクシーの場合、「〇〇駅まで行って!」で契約が始まります。料金についても、目的地に到着して「○○円になります!」ですよね。
ある面、かなり特殊な契約なのです。約款を読んでいなくても、印鑑もサインももらわなくても契約が成立するのです。
運送約款の内容を理解できる人は少ない!
乗車拒否ならば、他のタクシーに乗れば大きな被害になることは少ないですが、交通事故などにあってしまい、大怪我をしたときなどは「約款」の存在が重要になってきますね。
運送約款の内容をスマホで見れる!解説も見れる!
この記事の特徴は、スマホで見られることです。
国土交通省が公開している、運送約款は、pdfファイルで見られますが、運送約款そのものだけですので、難しい法律用語だけです。
この記事では、「タクシー乗務員の講習用のテキスト」の内容も書いていますので、実例もあります、理解しやすいと思います。
本来なら、営業所でしか見られない「約款」をスマホで見られるのです。
私が、運送約款を記事に投稿する大きなメリットとして考えたのは、これなんです。
しかも、疑問に思ったところを繰り返し何度も見られるのです。
実は、私は、「珍教官」と言うタイトル名で、「教習所」のText的な記事を書いています。これだと、いちいち運転教本や学科教本を開かなくても見られますよね。電車で立っているときでも、トイレの中でも…(笑)、ベッドでも。
教習生に「『疑問珍教官』で検索すると、教本の目次が並んだの記事が出てくるから、そこから、教習項目を見たら探せるよ!」と教習指導員時代に教えてあげると好評だったのです。
乗務員は待機中に携帯電話📱で約款を見られる!
乗務員は、約款を印刷した書類を持たなくても、確認できます。いわゆる、すき間時間に見ることができます。そして、「『運送約款珍タクドラ』で検索かけると見られますよ!」と乗務員同士で言い合えば、便利なのです。
お客様は乗車中や乗車後に、携帯📱で約款を見られる!
お客様にもお勧めできます。「この前、『乗車拒否』されたんだよね。」と愚痴られた時、「運転手さん、安くしてよ!」と言われた時などに、運送約款を見てもらえるのですね。
「『運送約款珍タクドラ』で検索かけると見られますよ!」とお客様に見て頂けたら、乗務員は運転に集中しやすくなります。
標準的な運送約款を載せておきます!
この記事では、国土交通省が定めた、標準的な「約款」も掲載します。そして、難しい言葉で書かれている約款に、なるべくわかりやすく解説や事例も書いていきたいと思います。
標準的でない運送約款もあるの?
運送約款の内容は地域やタクシー会社によって異なります。 旅行先や異なる地域でタクシーを利用する際は、その地域特有の規定について確認ください。
約款とはなにか
「約款」と聞いて、皆さんはどういうイメージがありますか?何か契約を行う時に、長い文章が細かい字で書かれていますね。ほとんどの人が丁寧に読まないのではないでしょうか?
何故なら、約款は、契約ごとにおいて、行政機関がチェックをしていて、事業所やお客がお互いに不利益を被らないように定めた約束事なのです。
いわゆる、「行政がチェックしている」と言う安心感から、丁寧に読まない人が多くなると言われています。
旅客事業(タクシー)、いわゆる自動車運送事業と約款は、切っても切れない関係にあります。
まず約款とは何か、から知っておきましょう。
約款とは、仕事を依頼される側と依頼する側の約束ごとを定めた、『合意内容』のことです。
約款はいろいろな業界で利用されており、様々な種類があります。
代表的な例です。
..運送約款
..保険約款
..工事請負約款
..旅行業約款
約款は平成29年に民法で規定された!
約款は商習慣として定型化されていましたが、つい最近まで明確な法的保護はありませんでした。
しかし、現代の大量定型取引の法的安定性を確保するため、平成29年の民放大改正で、ようやく定型約款が定義されました。
第548条の2【定型約款の合意】
① 定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。以下同じ。)を行うことの合意(次条において「定型取引合意」という。)をした者は、次に掲げる場合には、定型約款(定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。以下同じ。)の個別の条項についても合意をしたものとみなす。
一 定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。
二 定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という。)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。
② 前項の規定にかかわらず、同項の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第一条第二項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす。
約款は誰のためにあるの?
それでは、約款は誰のためにあるのでしょうか?
もしも標準約款が存在しなかったとしたら、どんなことが起こるでしょうか?
あなたが、携帯ショップで新しく携帯電話契約する時にどうなるでしょう?
約款が存在しなかったら?
もしも約款が存在しなかったとしたら、私たちは携帯電話会社と契約する際に、膨大な量の契約文書を一文一文チェックする必要があります。
なぜなら、契約文書の中に、携帯電話会社にとって一方的に有利、私たちユーザーにすごく不利な契約内容が含まれている可能性があるからです。
そんな不利な契約内容があっても、素人には気づきませんよね。又、約款が無ければ、携帯電話会社は、会社に都合の良い契約を契約文書にユーザーに解りにくいように盛り込むことも可能ですよね。
約款はユーザーの為にある?
運送業界にも、貨物、旅客の標準運送約款が存在します。
標準運送約款は、運送を引き受ける側と依頼する側にとって、極めて標準的な契約内容が網羅的に記載されています。
読む必要がないように作られているからです。
(実際、読む必要有りでも、簡単に読めないような大きさの文字で書かれています)
逆に、消費者に不利益な内容はまず通らないでしょう。
なぜなら『読む必要がない』ように作られているのですから、読む側(=消費者側)に不利な内容になっては意味がなくなるからです。
約款は事業所の為にある?
運送会社と荷主(旅客)との契約は、運送約款+引受書で完成します。
運送約款が掲示されていない会社というのは、契約について法的な争いになった場合、厳密には裁判で負ける可能性がある、と思ってください。
営業所の壁に貼られたあの薄汚れた運送約款。
実は大切な契約書だったんですよ。
標準約款とは?
契約のたびに、細かい契約文書を隅々までチェックしなければならないとしたら、これは社会全体から見ても大きな損失になります。
この損失を少しでも小さくするためにあるのが、各種の約款です。
それぞれの会社が作成した約款については、各関係省庁の認可(承認)が必要になります。
そうなると担当の人がしっかりと読み込んで、ユーザーに不利益をもたらすような問題がないかどうか確認するわけです。
そして、標準約款に示されていない、地域特性や会社独自の特性に合わせたものが、その会社の「約款」になります。
標準約款に、会社独自の内容が盛り込まれると、役所の審査を通して、その会社や営業所独自の「約款」ができる事になります。
一般乗用旅客自動車運送事業標準運送約款
1..適用範囲(第1条)
2..係員の指示(第2条)
3..運送の引受け(第3条)
4..運送の引受及び継続の拒絶(第4条)
(2)当社は、旅客の手回り品(旅客の傾向 するものを言う。以下同じ。)の中に 全校の物品が収納されている恐れがあると認める時は、
5..運賃及び料金(第5条)
6..運賃及び料金の収受(第6条)
7..旅客に対する責任(第7条)
8..損害賠償責任(第8条)
9..天災等の損害賠償(第9条)
10..旅客の責任(第10条)
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