今回は、坂道発進の指導方法を紹介いたします。と言うか、正確には、「坂道の通行」ですね。
坂道発進と言えば、最初に自動車を動かす時に次いで、ハードルが高い部分です。(笑)
簡単に言えば、坂道で停止・停車した後、後退することなく円滑に発進することです。
そして、教習生のほとんどが「坂道発進」と言いますが、実は、下り坂での「エンジンブレーキ」の使用も重要なのですv。
今回は、教習生の失敗談も交えながら、坂道発進のコツをお知らせいたします。
教習所教官による運転教本参考書
このコンテンツでは、運転教本を参考にして書いていますが、私は運転教本の参考書的な扱いで書いています。
運転教本では「堅苦しくて分かりにくい」「受験勉強のように語呂合わせで覚えたい」「裏技的な事を知りたい」という方向けに、私の経験から作成しました。
そのことをご理解いただき、この文章を読んできた抱ければ幸いです。
私がこの記事を書くにあたってスタンスとか、思いについての詳細は、下記の記事をご覧くださいね。
坂道発進の手順をお話する前に!しっかり復習してくださいね!
せっかく、意気込んでいるのに、申し訳ありません。坂道発進の前に、ちょっとおさらいをしておきたいのです。
実は、数年前、中国籍の30代くらいの女性を担当いたしまして…。とても熱心な方で、予習もばっちりしておられたのですが、予習での知識が飽和状態になっていました。言葉としてはよく覚えているのですが、実際の運転装置と連動していないのです。詳細は書ききれませんが、是非とも、基本に返って改めて確認しておきたいと思う事案でした。
右足で操作する アクセルペダル ブレーキペダル
★アクセルペダル=右足で踏む、縦長のペダル。足元右端にあります。エンジンの回転数を調整する役割があります。「アクセル」と呼びます。
★ブレーキペダル=右足で踏む、横長又はほぼ正方形のペダル。足元右端から二番目のペダルです。踏んだ時だけ効き、減速する際に使います。「ブレーキ」又は「フットブレーキ」と呼びます。
左足の定位置! フットレスト クラッチペダル
★フットレスト=通常左足を置いておく場所です。ペダルのように動きません。運転姿勢を安定させる役割や、踏ん張りやすくする役割等があります。「足置き」と言う指導員もいます。
★クラッチペダル(MT車のみ)=左足で踏む、フットレストのすぐ右側にあるほぼ正方形のペダルです。エンジンが回転する動力をタイヤ(ホイール)に伝えるか否かを制御するペダルです。「クラッチ」と呼ばれます。
※クラッチペダルを奥まで踏むと、エンジンの力が全く伝わりません。「クラッチを切る」とも言います。時に、「左足を踏んで」という指導員もいます。(笑)
※クラッチペダルから足を離すと、エンジンのン動力が直接伝わります。「クラッチをつなぐ」とも言います。時に、「左足を上げて・離して」という指導員もいます。
左足の操作! 半クラッチ(MT車のみ)
★半クラッチ=主に左足で操作します。クラッチペダルの踏み加減で操作します。クラッチペダルを踏みこんだ状態と離した状態の半ば位の動力がつながりかけているところを、半クラッチと言います。エンジン音が低くなったり、クラッチを操作している左足に細かい振動が来たり、自動車が少し前に進もうとしたりし始めた時が半クラッチになっていることを知る目安になります。
「運転教本」P74 の下半分を見るとイメージが付きやすいかもしれませんね。
因みに、私が見ている「運転教本」は、↓
運転教本: 株式会社 トヨタ名古屋教育センター <発行・編集 >
です。
駐車ブレーキの呼び名 ファミリー?
★駐車ブレーキ(パーキングブレーキ)★サイドブレーキ★ハンドブレーキ=これが良く迷うのです!
すべて役目は同じです。駐車の事を英語でパーキングと言いますので、駐車ブレーキ=パーキングブレーキはお分かりいただけると思います。つまりフットブレーキを離しても自動車が動かない(転がらない)ように停めておくブレーキ装置です。
★サイドブレーキと★ハンドブレーキは、同じようなニュアンスで使用されることが多いです。運転席左のシフトレバーの後方に位置している場合が多いです。左手で操作することが多いので、ハンドブレーキ。又運転席の横にある場合が多いので、サイドブレーキという事が多いのです。
駐車ブレーキにつての詳細は、こちらからご覧いただけます。
坂道発進とは?
坂道発進とは、渋滞や信号待ち、その他の事情で坂道の途中で車が停止した後に、その状態から車を安全に発進させる事(技術)をいいます。
平地での発進とは異なり、坂道で停止した車は勾配により重力に引っ張られます。重力に引っ張られて自動車が後方に下がってしまのを防ぐために駐車ブレーキを使います。自動車が後方に下がらないのを確かめてからフットブレーキを離して発進を行う技術です。
自動車が発進したら(正確には発進し始めたら)、駐車ブレーキの解除を忘れないようにしなければならないのです。手順を間違えると、慌てることにつながり、ミスも起こりやすくなりますね。
坂道発進(MT) 停止位置で停める
★まず、低速で坂道発進の停止位置に近づきます。これが大事!
(急停止したり手前過ぎで停止し、又はエンストしてしまったら、そこで焦る人が多いのです。)
平地から停止位置にかかるまでの上り坂約半分の位置まではスムーズな発進位の速度でやや加速します。
停止線がボンネットの先(フロントガラス越しに)見えなくなったら、アクセルを緩めてブレーキの構え(ブレーキペダルに足を移す)をします。
停止線は近づくと見えなくなるので、停止線の横に立っている固定物(電柱や標識の柱等)を発着点のポールだと思って、それを目標に止めるようにしましょう。停止線の近くに目標物が無ければ、(あの電柱より1m手前)とか言うように目標を定めておくと落ち着きますよ。
アクセルを緩めた後、なるべくクラッチはギリギリまで踏まないようにしましょう。ゴトゴト、ガタガタ、等いろんな表現がありますが、ある程度振動を感じてからクラッチを踏むとスムーズに停止できます。
サイドブレーキは軽く引く!ギリ後退しなければ良い!
このサイドブレーキを、目一杯引く(かける)人が多いのです。
というより、クラッチを繋いで、サイドブレーキを下ろせなくて苦労する人の大半は、サイドブレーキの引きすぎだと言っても過言ではないでしょう。
見極めの時に、サイドブレーキ下ろせれなくて苦労してる人を多く見ます。
そして、以前坂道を教えた教官がベテランだったら、「ヤッター!勝ったぜ!」と思えるのです。(笑)
サイドブレーキは、右足ブレーキを離しても、下がらなければ良いのです。
鬼のかたきほど力一杯引く必要はありません。
下がらない程度に必要なだけ引けば良いのです。
目一杯引くと、下ろすのが大変になるからです。
絶対下がらないように!と目一杯引く必要はないのです。
特に、MT車を運転する際は坂道発進が一段階の中での一つの大きな関門になります。
※実例
(以前、MTマニュアル車で検定をした検定員の話です。彼は、ハンドブレーキが解除できずに「発進不能」で検定不合格でした。検定員が交代して車を動かそうとしたら、検定員も解除するのに苦労する位きつくかけていたそうです。)
右足のフットブレーキを徐々に離す!
②右足のフットブレーキを徐々に離します。
車が後退しないかを確かめるためです。後退するようならば、少し強めに(1ノッチ音だけ)駐車ブレーキをかけ直します。
フットブレーキをゆっくり離す→後退しないか確認→後退するなら少し駐車ブレーキをかけ直す(1ノッチ音)。を繰り返します。
駐車ブレーキのみで車が後退しないのを確かめます。
※豆知識
合計30cm以上後退しなければ減点にはなりません。逆行30cm以上、50cm以内で―10点、50cm以上、1m以内でも―20点です。発進不能で検定一発不合格になるよりはマシですよね。(笑)
確認を二つ
①シフトレバー(ギア)が『1』(ロー)の位置にあることを確認します。
②周囲の安全を確認をします。
ミラーと目視で十分に周囲の確認します。
アクセルペダルを少し踏み込む!
アクセルペダルを少し踏み込みます。
タコメーターがある車では概ね2000回転を維持します。
タコメーターがない場合は、通常の発進よりもやや強く踏み込みます。
(教官が「そのくらい」と言ってくれたら、そのくらいのエンジン音を覚えておきます)
半クラッチの保持!
クラッチペダルを半クラッチの位置まで膝を使ってあげていきます。半クラッチとは、次のような状況で感じる事ができます。
①クラッチを踏んでいる左足を上げると、左足に「ググっ」と言うような振動が感じられます。
②エンジン音が低くなり、くぐもった様な音になります。
③タコメーターの回転数が低くなります。
(2000回転で半クラッチを試みたら、半分の1000回転近くになります。)
④車の先端か後端がやや浮き上がる事もあります。又後端が浮き上がる事も有ります。
⑤車が前に動こうとする。
それらの挙動が分かれば、半クラッチの感覚をつかみやすいです。
自分の感性を研ぎ澄まして、変化に気づけるようにしましょう。
自動車にも癖があります。あなた自身にも癖があります。
聴力が弱い人も居ると思います。
上記の①~⑤を参考にして、自分に合った方法で、半クラッチの状態をつかんでくださいね。
①~⑤全てが理解できることが理想ですが、一応頭で理解して、その中で一つか二つの自分につかみやすいサインを見逃さなければ、上手くいくでしょうね。
半クラッチ(通常発進が円滑にできれば、坂道発進はかなり楽にできます)
通常発進の半クラッチの使い方については、こちらからご確認くださいね。↓
坂道発進の成功間近!
クラッチをつないだにもかかわらず、車が下がり始めたら、クラッチペダルを1mmくらいずつ上げて様子を見ます。(私は、これを、じらす と言います)車が前進し始めるまでです。
車が前進し始めたら、クラッチペダルの高さはそのままで半クラッチで車を進めます。
車が動き出すと同時に、駐車ブレーキを一気に解除します。
この時、駐車ブレーキの解除は一気に(一番下まで)解除します。
親指ボタンを押し込みながら、ハンドブレーキをあげると、親指ボタンが沈みます。「カチッ」と沈み込んだら大丈夫。
駐車ブレーキが解除されているのを、警告灯で確認してください。警告灯が点灯していたら減点対象です。
坂道発進の完了!まだ気を抜かないで!
※クラッチを一気に上げると、エンスト又は急発進の可能性が高まります。
車が上り坂の頂上付近まで進むか、車の速度が歩く速さ位になったら、半クラッチ状態のクラッチペダルをゆっくり上げていけば、エンストしにくいです。
クラッチペダルを離すと同時に、アクセルペダルを少し弱めれば、急発進になる可能性は低くなります。
※クラッチの左足を半クラッチから上げる時はアクセルペダルも上げる!
坂道の通行(MT) 下り坂
下り坂になったら、クラッチをつないだまま、エンジンブレーキを効かせ(つまり「1」(ロー)のまま)て、フットブレーキも使い(断続ブレーキが望ましい)下ります。速すぎず、止まらずですね。
エンジンブレーキについての詳細は、下記をご覧くださいね。
ゆずの「夏色」の歌詞のように、フットブレーキも踏みながら「ゆっくりぃ~、ゆっくりぃ~、下ってく~」ださいね。動画では、1分20秒あたりです。(笑)
この歌詞のように。(笑)
自転車に彼女と二人乗りですので、ゆっくりでないと彼女さんが怖がりますよ。止まってしまうと転ぶ恐怖を味わいますよ。(笑)
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